プレゼント オレ日記 ■おっちょこちょいな彼氏
素敵な画像でシャドーセックス。今夜もセックスマイセルフ。
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サラ、ファイン サラファイン
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■あ、おひさしぶりです。

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■おっちょこちょいな彼氏 


その時、私と彼氏は、海にいた。

それぞれ違う仕事をして、違う生活の中、休みも違えば、時間帯も違う。だから、だからいつか一緒の休みを作って、流れる時間を忘れ、海に隣接されたログハウスにでも遊びに行けたらいいよねと、約束したのは数年前、そしてやっと訪れた念願の幸せな日。

赤い太陽、白い砂浜、青い海。はしゃぎ回る私達は、まるで鎖を外された子犬。人の目も気にせず、日が沈むのも気にせず、私達は念願の幸せな日を満喫した。彼氏は私に見せたこともない笑顔を見せ、私はきっと彼氏に見せたことのない笑顔をしていただろう。

高校・大学とスポーツをしていた彼氏。そんな彼氏の体力に私が追いつけるわけもなく、泳ぎ始めた彼氏を尻目に、私は先にログハウスに戻り、夕食の用意を始めた。今晩の夕食は、彼の大好きなカレーライス。

玉ねぎ・じゃがいもは適当なサイズに切り、ニンジンは細かく刻み、ペースト状にする。それがニンジン嫌いな彼氏に対する私なりの配慮。手間隙かかるけども、愛する彼の為だと思えば、疲労じゃなくて笑みが出てくる。私にもこんな幸せな日があったっていいよね。

ピー。

炊飯器がご飯の完成をお知らせしてくれたのかと思ったが、その音は炊飯器ではなく、窓の外から聞こえてきた笛の音色だった。きっと下校中の小学生が、暮れる夕日を見つめながら笛を吹いているんだわ。

ああ、キミはハーメルンの笛吹き。この幸せな日が永遠に続くように、ネズミじゃなくって、ふたりの現実やすれ違いの時間を、その透き通った音色で退治してね。

ピー ピピーッ!

どうしたのかしら、今度は激しい音色だわ。あの小学生が犬にでも追われたのかしら。でも良かった、あの子が本当にハーメルンの笛吹きならば、今の音色はきっと約束を破られて怒ったときの音色。物語で子供達が連れ去られたように、私達の幸せも連れ去られるところだったわ。

それにしても彼氏ったら遅いわね。「オレが新鮮な魚介類を取ってくるから、今晩はシーフードカレーな!」なんて大きなこと言ってたから、必死になってるのかしら。それともあの性格だから、街まで行って、スーパーで魚介類を買って誤魔化そうとしてるのかしら。そして「大漁だぜ!やっぱオレスゲー!」なんて嘘を吐くんだわ。

彼氏は本当に負けず嫌いで、いつもすぐにバレる嘘を吐く。イチローがメジャーに行った時なんて、手のひらを自分の腰の位置に当てて「イチローがまだこれくらいの頃、オレがバッティングを教えてたんだぜ!」なんて真顔で言ってさ。イチローの方が年上なのにバカよね。

私が便秘で1週間出てないって話をした時もそう、あの人ったら負けたくないもんだから「オレなんて6年出てないよ!」だなんて、どんな膀胱してんのよ。身体の70パーセントは水分だって言うけれど、残りの30パーセントは便ですか。本当にバカよね。

本人はバレてないと思ってるの、嘘がバレてないと思ってるの。誰だってすぐに嘘だってわかる嘘なのに。だから今回も、スーパーで買ってきた魚介類を、あたかも自分で捕獲したかのような嘘を吐くのよ、バカでしょ。でも嘘を吐いている時の必死な顔も大好きなんだけどね。

ん、何の音かしら。やだ、雨だわ。

流石にちょっと心配になってきたわ。あの人はまだ帰ってこないのかしら。もうどこで何をしてるのよ。カレーもコトコトと音を立てて待っているのに。あの人、ちゃんとケータイを持って行ってるかしら。ちょっと電話してみよう。

「私のおまーもり お花 マーガレッッ♪」

やだ、あの人ったらケータイ忘れてる。カエラが、カエラが目の前で鳴ってる。

もうあの人ったら、本当におっちょこちょいなんだから。いつもそう、この前もケータイと間違えて電話の子機を携帯していたし、ロールキャベツ作るなんて言い出した時も、キャベツとキャベジンを間違えて買ってきたし。今も道に迷って帰ってこれないんじゃないのかしら。まったく、どこのジャスコの鮮魚コーナーに行ってるのよ。

そうしている間にも時計の針は静かに時を刻む。ログハウスの中から聞こえるのは、秒針の音とカレーが煮だった音と、彼女の貧乏揺すりの音。そしてそれを掻き消す程の雨の音がログハウスの外から聞こえていた。

この日は記録的な集中豪雨となった。空からは雷が鳴り響き、海は荒れ、風はログハウスの窓ガラスを激しく揺らした。彼女はベットの上で布団に潜り込み、不安と恐怖から身を守っていたが、昼間の疲れからか、いつの間にか眠りに就いていた。

彼女が目を覚ますと、既に朝だった。昨夜の豪雨はどこかへと消え去り、カーテンを失忘れた窓からは、ポカポカと暖かい日差しが入り込んでいた。しかしまだ彼氏の姿はそこにはなかった。

彼女は化粧もそこそこに、簡単に着替えを済ますとログハウスの外へ出た。昨夜の豪雨の被害からか、外が騒がしかったからだ。

その騒ぎは浜辺から聞こえてきて、彼女は引き込まれるように浜辺へと向かった。そこには数台のパトカーとたくさんの野次馬。地元の漁師達から聞こえてくる話では、どうやら海から溺死体が発見されたらしい。

胸に一抹の不安を覚えた彼女は、興味本位で集まる野次馬を掻き分け、警察の制止も振り切り、青いシートに包まれた溺死体の元へと向かった。そこで複数の警察官に取り押さえられた。

「あたしの、あたしの彼氏が帰ってきてないんです!!」

まだハタチ過ぎの女の子が、昨夜の豪雨の中、ひとりで震えていたのだ。彼女は抑えていた不安を、その場で爆発させて泣き崩れた。

所持品がなく、身元が特定出来ない溺死体に困っていた鑑識は、彼女から聞き出した証言と遺体の一致する部分を感じ、彼女に遺体の確認をさせる事にした。青いブルーシートの顔部分だけを捲り、彼女に見せると、彼女は膝から崩れ落ちた。

その溺死体は彼女の愛する彼氏だったのだ。

彼女は声にならない悲鳴を上げ、呼吸の仕方を忘れかのような嗚咽を続けた。しかし支えてくれる人はそこにいない。あの笛の音は、本当にハーメルンの笛吹きだったのか。

呆然としたままで、流れる涙も拭かず、咳き込み続け、まだ目の前の現実を受け入れられない彼女だったが、鑑識から彼氏の遺品を受け取ると、その表情に不思議と笑みを浮かべた。




何で笛を持っているのよ

もう、おっちょこちょいなんだから。
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[ 2007/12/03 02:36 ] ■画像 | トラックバック(-) | CM(5)
悲しいじゃんw
でもこんな関係もうらやましい。
[ 2007/12/04 23:00 ] [ 編集 ]
なんか…和んだ
[ 2007/12/05 10:09 ] [ 編集 ]
泣けました。才能ありすぎです(TwT)
[ 2007/12/07 12:35 ] [ 編集 ]
悲しいはずなのになんか微笑んじゃう
泣けた
[ 2007/12/08 18:14 ] [ 編集 ]
なんという才能……
その文章力を分けていただきたいッ!
[ 2007/12/18 08:13 ] [ 編集 ]
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