
何もひとりで悩むことはないんだ。時には誰かの手を借りたっていいんだぜ。
この世は上手く作られていて、ひとりで乗り越えられる壁と、ひとりじゃ乗り越えられない壁の二種類が用意されている。お前は今、後者の壁に出会っただけだ。さぁ手を貸してやるよ。
ひとりひとりは個だ。しかしそれ以前に群だ。それが共存共栄、この世界のシステムになっている。たったひとりで生きられるのならば、それ以前に男も女もないさ。つまりお前は生まれてすらいない。
いつも誰かが手を差し伸べているんだぜ。お前がそれに気付いていないだけだ。絶望で真っ暗だと思っていた世界、電気を点けてみると救いの手だらけだったって事もある。つまり自分の殻に籠っていただけなんだ。
自分には誰もいないだなんて、誰かが作った惣菜食べながら何を言っているんだ。もう死にたいだなんて何を言っているんだ。お前が精子だった頃、誰にも負けずに必死で卵子まで泳いだんだろ。生きたいと必死で。
生きるんだよ。何も難しいことなんてない。人生なんて死ぬまで生きればいいだけなんだよ。時には誰かの手を借りてでも。誰かに甘えてでも、誰かにすがってでも。
今のお前のその悩みは、お前がひとりで背負うから重たいんだ。ふたりで背負えば半分でいいし、五人でも集まれば片手で持てる。お前の悩みはそれくらいの重さなんだよ。格好つけてひとりで持つから重くて仕方ない。
さぁ、遠慮せずに掴まれ。

あ、きび団子は前金、いや前団子でちょうだい。

「あれ、きび団子どこに入れたかな?」

「あれ、確かここに入れたはずなんだけど…」

「あれ? どこにやったっけな?」

「ちょ、待って」

はよ。
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