今日は私と彼が付き合い始めて三回目の誕生日。
一回目の誕生日は高級ホテルのレストランを予約してくれた。彼ったら決して裕福な暮らしをしているわけじゃないのに、一流シェフが作るフランス料理を私の為に用意してくれた。次から次に出てくる見たこともない料理に驚く私を見て、彼は「常連だから驚かないよ」なんて言ってたけど実は驚いていたのを覚えてる。私の誕生日と同じ赤ワインなんか手配しちゃってさ、素敵な誕生日を演出してくれた。
二回目の誕生日は海が見える公園でキスをした。「いいからいいから、たまには公園に遊びに行こう」なんて自分から誘ったくせに、やたら大きな紙袋を持ってくるんだもん。「それなぁに?」て聞いても「いいからいいから」って、私が欲しがってたブランドのバッグが入ってるってバレバレなのに必死で隠しちゃったりして。帰り際に「はい、これプレゼント」だって、わかってたけど素敵な誕生日を演出してくれた。
そして今日は三回目の誕生日。だけど待ち合わせしている駅前でもう二時間も待っている。最近、私の事を考えてくれてるのかさっぱりわからない。だって仕事仕事、残業残業って私より仕事の方が大事なのね。今日は私の誕生日なのよ、それなのに残業で遅くなるってどういう事なの。「オレは何よりも仕事が大事なんだ」って男ってどうしてそうなのかしら、絶対に今日の誕生日も忘れてるんだから。
それから更に一時間が過ぎた頃かな、怒って帰ろうとした瞬間に彼が現れたの。小雨の振る中、三時間も待ってたのに「ごめんごめん」なんて悪かったと思ってないのかしら。もう予約していたお店も時間を過ぎてキャンセルしちゃったし、何よりまだ彼の口から誕生日の話が出てないし、今日は最低な誕生日になりそうな予感。
二人で色々お店を探してみたけど、今日は土曜日、しかもこんな時間から予約なしで入れるお店は無かった。結局開いていたのは居酒屋だけで、彼は黙々と焼き鳥を食べていたけど今日は私の誕生日なのよ。どうして誕生日に居酒屋なのよ。もう本当に最悪なんだから、私も今日で三十歳なのよ。こんな最低な彼氏とはさっさと別れて次の男を捜さなきゃ、お嫁に行き遅れちゃうわ。
お店を出てもずっと謝ってくるだけの彼。そんな上辺だけの言葉じゃ誠意を感じられないわ。「もう帰る」と不満を露骨に表して帰る私。「ごめんな、送って行くよ」なんて付いて来なくていいのに。今日は付き合って三回目の誕生日なのに、私が産まれた日なのに。しかも、どう見ても手ブラじゃない、プレゼント持ってないじゃない。
無言のままで私のマンション前に辿り着いた時、彼がそっと言葉を発した。
「誕生日おめでとう」
もう忘れられていたと思っていた言葉に反応して、突然溢れ出す大粒の涙。思わずその場に崩れ落ち、もう近所は寝静まった頃だというのも忘れて大声で泣いた。しかし感極まる私に彼はまた追い討ちをかけるのだった。
「あの、これ、プ、プレゼント」
彼はポケットから何かを取り出し、私の前に差し出した。
「頼んでいた指輪を取りに行ったら遅くなったんだ、ごめんな、結婚しよう」
私は泣いた、明日で地球が滅亡してもいいくらいに幸せだった。周りが結婚していく中、私だけが取り残されている事に焦っていた私が待ち望んでいた言葉。もちろんふたつ返事で「うん」と応えた。彼は三回目の誕生日に最高のプレゼントをくれた。今日は最高の誕生日になった。
私は溢れる涙をハンカチで押さえ、彼が差し出している二人が一緒になる印の指輪に視線を向けた。

・・・。
それから二十回目の誕生日、最愛の彼であり、最愛の旦那は急な病気で天国へと旅立った。私は彼の為に今まで何をしてあげれたのだろう。与えられてばかりの愛で、私は彼に何を与えたのだろう。私は彼の遺骨が眠る墓標の前で手を合わせ念じた。
「最高の愛をありがとう、最高のプレゼントをありがとう」

ばーかばーか。
ランキングが125位(笑) 我ながらザコ(笑)
男の、男による、男のためのアダルトショップ
あとこの指輪ほしい。ファック。