
高層マンション。
靴を揃え、遺書を添え、今にも飛び降りようとする中年。
高層マンション。
仕事をサボり、気分転換に、煙草を噴かしに来たオレ。
高層マンションの屋上でこんにちは。
オレは言う。
「どうせ死ぬなら金をくれ」
中年は言う。
「もったいないから金はあげない」
オレは言う。
「金に執着するなら死ぬんじゃねえ」
中年は言う。
「それなら自分で何か買う」
オレは言う。
「欲しい物があるなら死ぬんじゃねえ」
中年は言う。
「それなら家族の為に残す」
オレは言う。
「家族の事を想うのなら死ぬんじゃねえ」
中年は言う。
「死ねないじゃないか」
オレは言う。
「死ぬ理由が無いじゃないか」
中年は言う。
「なるほどな」
オレは言う。
「納得したなら金をくれ」
中年は言う。
「ふざけるな」
オレは言う。
「ふざけるな」
中年は言う。
「頭に来たから家に帰る」
オレは言う。
「いいな幸せで」
高層マンション。
中年が帰った高層マンション。
オレは寂しくなり、靴を揃え、遺書を書き、今にも飛び降りる寸前。
高層マンション。
画板を抱え、筆を持ち、空の絵を描きに来た画家。
高層マンションの屋上でこんにちは。
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イイ話が続いて行くんだね?
いつもと違って、
イイ話☆