オレ、東京に行くから。
そんな話を聞いたのは、一昨日の事だ。幼き頃からの親友が、家庭の事情か宗教上の理由で東京へ行く。しかしオレ以外、誰も寂しがらなかった。彼には誰一人友達がいなかった。
あいつの友達はハトだった。ハトとテレビだけが友達だった。あいつは神社のハトに餌を与えるのが大好きだった。あいつはハトを愛するあまり、豚肉をハトに与えていた。それでよく神社の神社部長に怒られていたものだ。豚はちゃんと火を通さないと危ないと。
あいつは本当にハトを愛していた。ハトもあいつを愛していた。
あいつは餌に集まってきたハトを、片手で鷲掴みにするのが得意だった。マイク・タイソンはそれをトレーニングとし、動体視力と反射神経を鍛えているらしい。そんなテレビで得た知識で盛り上がりながら、オレらは朝まで語り合ったもんだ。
「ヘヘッ、オレはマイク・タイソンにも勝てるぜ」
「イヒヒ、新沼謙治にも勝てねぇよ馬鹿野郎」
そして東京へ旅立つ前夜、あいつからの別れの電話がかかってきた。
「明日、オレ、東京に行くから」
「何時の便だ、見送りに行くよ」
「来なくていいよ、どうせ誰も来ないんだし」
「オレらは親友だろ、オレだけでも見送りに行くよ」
「そっか、ありがとうな」
ついにあいつが旅立つ当日、オレはめんどくさくて見送りには行かなかった。ふと見上げた福岡の空、青い空も少しグレーに染まり、その色がとても悲しい色に見えた。そしてオレは薄いグレーの空に願った。あいつにも東京でたくさん友達が出来ればいいなと。
頭上に鳴り響く、ジェット機の轟音。

そっか、あいつには友達がたくさんいたんだな。
ランキングが125位(笑) 我ながらザコ(笑)
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